Beranda / ファンタジー / 転生して森で暮らしていたら買い物帰りに王女様を拾いました【R-18】 / 第2話 知らないオッサンに拾われた―異世界での一夜

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第2話 知らないオッサンに拾われた―異世界での一夜

Penulis: みみっく
last update Terakhir Diperbarui: 2025-06-26 20:37:07

「俺は、助かったのか? いや、攫われたのか?」

 目の前にいるのは、かなり怖い顔の男だが、悪人面というわけではなさそうだ。だが、一人で笑っている。これは……寝たふりをしていた方が良かったか?

「目を覚ましたか、坊主。いや……起こしちまったか! 悪いな。ちっと、うるさかったか」

 男と目が合うと、怖い顔でニカッと笑った。

「う、うん……おきた。おじさんが助けてくれたの? あ、ありがと……」

 一応、子どものふりをしなければ気味悪がられるだろう。とはいえ、人見知りで自分に自信がなくオドオドした性格だったし、元々、性格は子どもっぽい。話し方さえ気をつけていればいいか。

 今まで寝ていたから忘れていたが、腹が「ぐぅーっ」と静まり返った部屋に大きく鳴り響いた。それと共に俺の顔が真っ赤になったのが分かった。

「あっははは……! そうか、そうか……安心したら、腹減ったか! 飯の心配なら要らんぞ、しかも肉は食い放題だぞ!」

 怖い顔が緩み、優しい表情となって豪快に笑われた。

「むぅ……。ひどい……恥ずかしいのに! 聞こえなかったふりをしてくれても良いのにっ」

 頬を膨らませて、布団をかぶった。

「いや、小さな体なのに、豪快に腹の虫が鳴ったもんで驚いてな! つい笑っちまった」

 男がそう言うと、ギィーとドアを開ける音が聞こえた。不安になり布団から出ると、置いて行かれるのが怖くて男の服を掴み、一緒に外に出た。

 窓から見える景色で、すでに夜だとは知っていたが、外に出ると漆黒の闇が広がり、近い距離の木でさえ見えないほどの闇に覆われているようだった。

「なんだ? どうした? 小便か?」

 男が不思議そうな表情をして見下ろしてきた。

「ち、ちがう……」

 小便? あぁ、外でするのか……。こういう田舎は初めてだが、親に連れて行ってもらったキャンプを思い出す。あの時もトイレは外だった。

「じゃあ、なんだ? あぁ……そうか……」

 さっきまで馬鹿にしたようにニヤニヤと見ていた顔が悲しげな表情になり、気を利かせたつもりなのか黙った。

「まあ、なんだ……その、悪いことがあれば、良いこともあるさ! 人生、楽しんだもの勝ちだぞ!」

 そう言いながら、かまどに消えていた薪に手をかざし、ブツブツと詠唱のようなことを呟くと、薪に勢いよく火が点いた。

 あ、そっか……。子どもが山でうろついていれば、迷子とは思わないか。捨てられたと思って気を使ってくれたのか……って、その気遣いは嬉しいけど、魔法の方が気になって仕方がない! なにそれ!? 目を輝かせ、魔法を使った男の手を見つめた。

「……ねぇ、それ……なに? 今、なにしたの?」

 オドオドとしながら、恥ずかしそうに聞いた。

「あぁー。肉入りのスープだぞ! 旨いし、いっぱいあるから遠慮すんなよ」

 って、違うってば! スープも気になってたけど、魔法の方だよ! もう。

「ちがうっ。魔法の方……はじめて見た」

「そうなのか? お前の親……えっと、周りで魔法を使うヤツはいなかったのか?」

 彼は俺を見ずに、木の棒で薪の調整をしながら尋ねた。薪の調整をすると、さらに火の勢いが強くなった。

 メラメラと炎が燃え、周りが明るくなるが、森の木々には届かず、森は暗闇に覆われたままで不気味だった。

「うん。いなかった……。ねぇ……ボクにおしえて?」

 男の服をギュッと引っ張りお願いした。

「構わんが、魔法はな……素質が無ければ使えんぞ。俺も、大した素質はないからな……生活魔法が限界だったな」

 ……マジかぁ。俺に素質があるのか不安になり俯いた。

「そんなに落ち込むことはないだろ!? 素質がないと言ってないぞ? 結果も分からんのに、落ち込むな!」

 彼は俺の頬をムニムニとつまんで引っ張った。

「子どもの頬は気持ちいい柔らかさだな! 明日教えるからな。食ったら寝て体を休めておけよ、坊主」

 そういえば、まだ自己紹介すらしてないじゃないか!? こういうのって、大人から聞いてくるものじゃないの? 「坊主」って呼ばれるとイラッとするからやめてほしい。ユウヤだけど……ユウで良いか。

「……坊主じゃない。ゆ、ユウって呼んで」

「ユウか、可愛い名だな。俺はトリスタンだ」

 ガシガシと頭を撫でられた。……完全に子ども扱いですか。子どもですが……。

 スープの入った鍋を持ち家の中に入ると、木のお椀にたっぷりと具が入ったスープとパンを用意してくれた。味は塩味で肉と野菜の旨みが出ていて素朴だが美味しい。パンは硬くて歯が折れそうだ……スープがなければ食べられない。

 これでは足りないと思ったが、体が小さくなっているせいか、腹がはちきれそうなほどの量だった。

「苦しい……もう食べられないやぁ」

 ニコニコしていると「ここで住むなら、自分が使ったものは片付けてから寝ろよ~」

「はーい」と返事をしたものの、どうやって片づけるんだ? 使った木のお椀とスプーンを持ち、キョロキョロしていると、布団で寝転がっていたトリスタンがニヤニヤしながら俺の行動を見守って微笑んでいた。

「それも、明日で良いぞ。こっちに来て寝ろ。朝早く起こすからな」

 今さっき起きたばかりで、寝られるわけないだろう……と思ったが、満腹になったのと安心感で、知らないおじさんの隣で寝てしまった。

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